2.撮影について(2)

b) 撮影条件について
撮影する時、プロ用のスタジオと違って、いろんな条件がその時々によって変化します。

プロ用のスタジオであれば、撮影する広さ、環境、光源など不変になりますので、
その場に応じたセッテイングを固定して、被写体に専念することが可能ですが、
家で撮影する場合や屋外で撮影するときには、その場所や辺りの内容は、その時によって変化しますし、
窓から日光も入ってくるので、もちろん、光源も時間や天候とともに変化します。

デジタルカメラは、フィルムカメラ以上に、この変化によって、かなりの影響を受けてしまいます。

逆に考えれば、いろんな条件で様々なイメージの写真が撮れるとも考えられるのですが、
そのためにも、その特性を理解して対応できるようになりたいと 思います。

そこでここでは、撮影する環境の諸条件によって、どんな特性がでるのかについて、
また、その対応方法を まとめていきたいと思います。

(※多少カメラによって差がありますが、一般的な内容と自分の経験からでの内容になります。)
※今回、撮影状態の違いが解かりやすくするために、モノトーンドレスの胡桃のみの参考例にしてあります。ご了承ください。


基本的には、撮影スペースの規模、廻りの環境や色、光源といった内容が
同じものを撮影しても違いがでてしまう諸条件と考えられると思います。

1.撮影スペースの規模としては、屋内か屋外かが大きな違いでしょうか。

2.撮影スペースの廻りの環境や色としては、近くの物の存在が要因になっていると思います。

3.撮影スペースの光源としては、自然光か蛍光灯、スポット、ストロボの違いや順光、逆光などです。

とりあえず、この3項目についてまとめていくことにします。
(※今後、他の諸原因があれば その都度 追加していきますので御了承下さい。)


1.撮影スペースの規模について。

 撮影スペースの大きさによって、撮影アングルが、かなり決まってきます。
 スペースが狭い場合、どうしてもカメラが被写体よりになります。
 逆にスペースが広く取れる場合については、気をつけないと間が空いてしまいます。

 しかし、基本的にある程度、広い方が自由なアングルをとり易くなるため、被写体によって巾はありますが、
 (うちの子たちの場合、スカートの広がりだけで60cm四方必要です・・・)
 できるかぎり、大きくとった方が いいと思います。

 基本的には背景のセッティングについてにて説明していますので、そちらを参考にしてください。

 屋外の場合、撮影スペースというよりは、背景の構図を頭に入れて、どう被写体を入れるかで、
 ほとんど人物撮影と同じだと考えていいかと思います。
 しかし、人物より小さいので、その分、勝手が違い、できるだけ被写体によって撮影することにより、
 イメージ修正することが必要になりますので注意しましょう。
 



2.撮影スペースの廻りの環境や色について。

 撮影スペースの廻りに色んなものがあると、カメラのアングル内には入らなくても、光源の加減などに影響を受けてしまいます。
 
 デジタルカメラの場合、フィルムカメラ以上に廻りの色や着ている衣装の色によっても、その影響を受けてしまいます。
 (いわゆる色かぶりというものです。)

 廻りが青いと本来、白いものまで青く、赤いと白いものまで赤く引っ張られてしまったり、
 本来の色がそのまま反映されず、似て非なる色合いになってしまう事があります。
 原因としては、光の反射による色の変化によるもので、これは、側の色が反射して、被写体に映り込んでしまうものです。

 最近のデジタルカメラは性能もよくなり、色かぶりはあまり無くなってはきているのですが、
 狭い空間での撮影や強い光を被写体にあてる時には、できるだけ青いものなどを避けた方がいいと思います。
 
 しかし、光源に変化をつけたい時などには、
 レフ板やストロボを使用するときに使うデュユーザーなどその逆の応用を使うと非常に有効です。

 ストロボ問わず光量を、軟らかくしたい場合、
 ストロボにつける
デュヒューザーや日光の場合は、レースカーテンなど使用すると便利です。
 わたしは最近、この方法をよく使用しています。

 屋外の場合、廻りの環境によって陰影などのでき方なども変わるため、
 こだわる場合によっては、レフ板などを使用してもいいかと思います。
 
 代表的な影響例と レフ板の使用例、デュヒューザー使用例を下記に載せておきます。
通常撮影時 影響された例


何もまわりに無いときです。
光が抜けて顔が影で暗い状態です。


側に緑のクッションを置いたときの例です。
顔が反射によって色が変わっています。
通常撮影時 レフ板使用例


上の写真をひいたとき時の状態です。
バックに影が入っています。


胡桃の右側に上のクッションの代わりに
レフ板を置いて撮影。
通常ストロボ撮影時 デュヒューザー使用例


光量が強すぎて白とびぎみです。


自然な感じになりました。
レフ板を使用すると、反射した光により影部分がなくなります。

デュフューザーを使用すると光が拡散するため、バック部分の影が弱くなります。
(影を無くすにはバウンスなどを使用します)

いずれも、イメージをよくするためのものなので、
光源の向きなどを補正するためには役に立つと思います。

また、この後で出てくる逆光での対応にも向いています。



3.撮影スペースの光源について。

 撮影する時の光源としては、大きくは自然光か蛍光灯、スポット、ストロボの4種類だと思いますが、
 撮り方によっては、その光源を複数使用することも多いと思います。

 多少の差はありますが、最近のデジタルカメラは、オートホワイトバランスで上記の光源の違いにほぼ完全に対応しています。

 個別のホワイトバランスを利用するより
基本的にはオートホワイトバランスを利用したほうが、間違いないと思います。

 
一般に ホワイトバランスは太陽光を基準にして日陰や曇りなど色温度が高くなるにつれて黄色く補正し、
 蛍光灯や電球など色温度が低くなるにつれて青く補正する特性があります。

 
 クラシックな雰囲気が欲しければ電球色をベースにして太陽光を選択することにより、
 全体が黄色く年月が経ったようなイメージになりますし、
 ホラーやサイコな雰囲気が欲しければ逆に日陰で撮影しながら、
 蛍光灯や電球を選択すれば青白い幻想的なイメージに近づけます。

 
 しかし、複数の光源を使用した場合や、廻りの環境の色の違いによって、
 どうしても、一律のイメージにはなりません。

 また、各々、光線の周波数がRGB別で強弱が異なるため、実際にはホワイトバランスのみの修正では、
 細かい色目まで、一番元になる自然光に合わせることは、不可能です。
 
 
※上記の修正方法については、次大項目のデータ処理と加工にてまとめたいと思います。

 また、光源の向きによっても、撮影のイメージは随分変わってきます。

 向きには、正面から光をあてた順光、側面よりあてた斜光、裏からあてた逆光とあり、
 人物撮影のイメージには順光よりも斜光や逆光ぎみの方がいろんな本をみるといいらしいのですが、
 そのまま撮影すると、影が濃くなったり、画像が真っ暗になりやすいので、
 注意が必要です。(上記のレフ板やストロボ+デュヒューザーの使用など)

 下記に光のあたり方によってのイメージの違いや逆光の対処方法を参考までに載せておきます。

 光のあたり方によるイメージの違い
順光 斜光

全体的に明るさは摂れますが
少し平面的になりがちです。

影がついて立体感はでてきますが
暗い部分が沈みがちになります。
逆光(補正後)

バック部分は白とびしてしまいますが、
光のやわらかさが伝わります。
斜光・逆光の撮影補正方法
通常撮影(逆光) 露出による補正方法


そのままで撮った場合、
被写体が影になってしまい
真っ暗になってしまいます。










露出による調整は背景の白とびを気にせず、
できるだけ被写体の明るさを基準にした方がいいです。
測光は被写体が大きい場合は、
中央部分重点測光が有効ですが、
被写体が小さいと、
どうしても明るいバックに測光が合ってしまうため、
評価測光でも中央部分重点測光でも
あまり結果は変わらないみたいです。
利点としては、
他の機材が必要ないことです。
欠点としては、
調整できる限界があることです。
レフ板利用による補正方法 ストロボ利用による補正方法


レフ板による調整は基本的に、
元照明のイメージを生かしながら、
サブ照明源を作って、
暗く沈んだ部分を無くすのが目的だと考えた方が
いいと思います。
利点としては、
同じ光源なので撮影イメージが変わらないことです。
欠点としては、
機材の持ち運びが多くなります。



ストロボによる補正方法は、
照明の当たっていない部分に
違う光源をあてて補正する方法となります。
ストロボの強さによって、
光源の距離やデュヒューザーを使用し調整します。
利点としては、
元照明に左右されず光の加減を調整できることです。
欠点としては、
光源が違うので元のイメージを
維持するのが難しいことです。
この写真のみ顔色が異なっているのが解かると思います。
わたしの今までの経験より、

露出調整方法については、値が+1〜+2ぐらい、思い切り上げた方が結果がよかったと思います。

レフ板については、簡易に作って使用したことはありますが、
やはり、設置場所やセッティングなどが大変なので、基本的には使用していません。

ストロボ利用については、露出調整でまかないきれない時、
後幕シンクロなどを使い、デュヒューザーを付け、バウンス撮影を行なっています。

しかし実際、ストロボを使用する頻度は少なく、
基本的には露出調整だけで対応していることがほとんどです。

最終的には仕上がりイメージがそれぞれ若干?違いますので
好みで使い分けられたら良いのではと思います。


とりあえず 撮影条件に関わるものについてまとめてみました。

撮影条件については、着装しているもの色かぶり以外について、現在のデジタルカメラで、
かなり過酷な条件でも撮影方法さえ考えればクリアできるものが多くなったのは、すごいことだと思います。

昔は、単純に赤いものが赤く、青いものが青くが微妙なところで、何か違っていたものが多かったのですけど、
(よくメーカーによって色のつくりに特色がすごく出ていました。)
今はどこのメーカーもほぼ忠実な再現力を持っていると思います。

次は、アングルやズームなどの内容を基に撮影方法自体についてまとめたいと思います。



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1.機材、小道具について
a) カメラの種類、特徴について コンパクトデジタルカメラ、NEO一眼レフカメラ、一眼レフカメラ 公開
b) 三脚、リモコンの利用 手ブレをなくす簡単な方法 公開
c) 背景のセッティングについて 市販品から手作りまで 公開
d) 小物の使用について スケール感、イメージ作り、 公開
2.撮影について
a) 記録方法について JPEGとRAW、ブラケット撮影、ピクチャースタイル 公開
b) 撮影条件について 日中の自然光、室内蛍光灯、スポット、瞬間光(フラッシュ) 公開
c) 撮影方法について ズームと広角、マクロなどレンズ選択や設定、撮影アングル 公開
3.データ処理、加工について
a) 簡単な後処理について 明るさ、色合い、コントラスト、トリミング 公開
b) 視覚効果のある処理について ソフトフォーカス、縁取り、セピア 製作中
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