1.機材、小道具について(3)


c) 背景のセッティングについて
室内にて撮影を行う場合、その背景については何もしていないと家の中の情景を映すことになります。
とても雰囲気のよいイメージに合った内容であれば問題はないとは思いますが、
そうではない場合の方が多いと思います。

いろんな方のHPを見ていますと、バックを窓際にもってきたり、壁一面の部分をもってきたりと、
かなり考えられて撮られたりしています。

わたしも以前は同じように、できるかぎりフラットな感じの部分を背景にして撮ってはいたのですが、
どうしてもイメージづくりをするには難しいかなと、思っていました。

そこでイメージ通りの背景をセッティングするために、いくつかの条件をあげてみます。
イメージ通りの背景をセッティングするためには、

1.撮影範囲をまかなう位のバックスクリーンが必用。スペースの確保。
2.背景に合ったライティングの位置、光量の確保。
3.イメージにあったバックスクリーンの内容。


が必用になると思います。
ようするに、家の中にミニチュアの写真スタジオを作り上げればよいわけです。

しかし、写真スタジオを作ると大袈裟に考えると、かなり難しいことだと思いますし、また設置したら、
ずっとそのままでは、自分の生活の場が無くなってしまいます。(笑)

そこで、ここでは簡単に設置、片付けのできる事をベースに、有効的な背景のセッティング方法を
まとめていきたいと思います。

1.撮影範囲のスペースの確保。

 撮影場所については、基本的に床、もしくは何かの台の上になると思います。
 2つの特色の違いによる利点と欠点は下記のとおりになると思います。
場所 利点 欠点
無限大?に使用可能

室内灯を考えて場所をすぐに切替可能。
撮影時のアングルの撮り方が低く、困難。

作業動作が大きくなります。
テーブル・机上
台など
三脚を使用したアングルの撮り方が容易。
作業体勢が楽です。
スペースが限られますので
大きなイメージづくりには不向きです。

セッティング前に片付けが必要。

室内灯利用の場合、移設も必要あるかも。

室内灯を使用しない場合、
他のライティング設備が必要になります。
(スポットライト、フラッシュなど)
上記の内容よりどちらかが必ずしも秀でているということではないので、
目的に応じて使い分けていけるようなセッティングを考えればよいと思います。

例えば、ジオラマではありませんが、舞台イメージのように、家具や小物を
多数使う場合や、多人数を入れた撮影をする場合、
どうしても、場所を大きくとりますので床を使用することになります。
少人数をあまり小物などを混ぜず撮影する場合は、
テーブルなどの台上で十分だと思います。
あとは、セッティングの考え方でどちらにするか決めればよいと思います。

わたしは、最近、少人数にはなってしまいますが、撮影アングルを重視して、
1つテーブルを空けて撮影するようになっています。


2.背景に合ったライティングの位置、光量の確保。

 ライティングについては上記でも少し触れましたが、
 常時点灯している室内灯の利用と撮影専用に設けたスポットライトの使用、
 一瞬の点灯による瞬間光(フラッシュ)の使用とに分けることができると思います。

 3つの特色の違いによる利点と欠点は下記のとおりになると思います。
場所 利点 欠点
室内灯
(蛍光灯など)
設置条件が必要ありません。
(部屋の天井に付いているので(笑))
明るい室内灯ならば、問題ありませんが、
光量が不足すると、撮影しづらくなります。

周りにいろんな色がある場合、
色かぶりをしやすくなります。

照射角度に限界があります。
スポットライト 好みの照射強度、
角度をとることが可能です。

色温度を変えて、様々な雰囲気を
作り出すことが可能になります。
設置場所を確保しなければなりません。

照射が弱く室内灯と色温度が違う場合、
うまくホワイトバランスが働かなくなり、
写真がうまく撮れなくなります。
瞬間光
(フラッシュ)
別置のストロボ装置を
使用するのなら別ですが
基本的には設置条件はありません。
撮影をしてみないと効果がわかりません。

別置のストロボ以外では、
カメラ側からの照射になってしまいます。
はっきりとして、どれがいいのかわかりません。
とりあえず、全て試してはみたのですが、できあがった写真の良し悪しはないと思います。

ここには書いてはいないのですが他に日中の窓からの自然光を利用することもあります。
画像加工無しでは一番素直な色合いでした。
ただし、イメージづくりにおいて、素直な色合いだからいいかというと、
必ずしもいいとは、限らないので、用途に応じて変えるか、光の向き、質によって、
イメージを作っていけばいいのかなと思います。

わたしは、最近ストロボを使って撮ることが多くなっています。
(後のデータ上の処理が一番楽だったので・・・)


セッティング時の光線による画像の違い

とりあえず、上記の差による画像の違いを載せておきます。
参考にしてください。

※本当は同じ撮影内容にて違いを出せればよいのですが、今回はあくまでセッティングをベースと考え、
  それぞれでセッティングした時の写真を使用しています。
  光の質の違いについては、『撮影条件について』にて、まとめていきたいと思っています。
自然光による撮影 室内蛍光灯撮影

窓からのキャッチライトが取れます。
自然な陰影をつけることが可能です。





撮影データ
レンズ キャノン EF-S 60mm F2.8 MACRO USM
絞り優先
絞り F5.0
シャッター速度 1/5秒
露出 ±0
ISO 200
ピクチャースタイル 忠実設定
画像加工 無し

キャッチライトは取れませんが
前に白いものを置くことで
キャッチライトの代わりになります。
陰影は期待せず、消しこんだ方が綺麗です。
露出を高く摂るために
背景の黒が薄くなります。

撮影データ
レンズ タムロン SP AF28-75mm F2.8 XR Di
絞り優先
絞り F7.1
シャッター速度 1/5秒
露出 ±0
ISO 200
ピクチャースタイル 忠実設定
画像加工 無し
スポットライト(部分光)撮影 フラッシュによる撮影

スポットライトのキャッチライトが取れます。
自由な陰影をつけることが可能です。




撮影データ
レンズ キャノン EF-S 60mm F2.8 MACRO USM
絞り優先
絞り F7.1
シャッター速度 1/6秒
露出 +0.3
ISO 400
ピクチャースタイル 忠実設定
画像加工 無し

フラッシュのキャッチライトが取れます。
陰影はつきますがカメラ付属のものでは、
あまり期待できません。
別置のストロボを使用すれば、
自由な陰影をつけることができると思います。

撮影データ
レンズ キャノン EF-S 60mm F2.8 MACRO USM
絞り優先
絞り F4.0
シャッター速度 1/20秒
露出 +0.7
ISO 800
ピクチャースタイル 忠実設定
画像加工 無し


3.イメージにあったバックスクリーンの内容。

 ということで、いよいよセッティング自体の内容になるのですが、
 方法としては、このあとまとめていく手作りで作るほかに、市販品を利用するということもできます。

 まず簡単に市販品(小物撮影用BOX)の紹介をしてから、手作りのセッテイングのまとめを
 していきたいと思います。

市販品(小物撮影用BOX)


こんな形をしています。
小さなテントみたいです。
大きさとしてはSDが2.3人並んで撮れるかどうかで
高さ的には通常に立ってとるには、よいと思いますが
段差をとったり、階段状に人形を並べるにはつらいと思います。

市販品については、設置しやすく、
その特性から照度を採りやすいというメリットがあるのですが、
大きさが制限されるため、
イメージを作りにくいデメリットがあるということです。


メーカーのホームページをリンクしておきますので、
参考にしてください。


市販品(小物撮影用BOX)メーカー参考リンク
IKESHOP ONLINE フォトキューブという名前で売っています。(上記写真はこれです。)
楽天SHOP 撮影BOX(L)という名前で売っています。
FUJI FILM DB-BX デジタル撮影BOX という名前で売っています。(カメラのアクセサリーの部分)
エツミ ドームスタジオL 「E-1453」 という名前で、ヨドバシなどでも売っています。
イメージフォリオ ディーキューブという名前で売っています。


★★★手作り背景のセッティング方法★★★
ここでは、最近、使用している背景のセッティング方法をまとめてみました。
一応、冒頭にあるサイト様や写真雑誌をもとに作ってはいるのですが、
もっと、よい方法が、あるかもしれません。
あくまで、参考までに。
1.ベースとなる部分(床・台など)に布や紙などを敷きます。
2.ブックエンドを2枚重ねて、
 背景となるパネルの厚さで固定させます。
 (固定はセロテープで十分です。)
3.背景のベースとなるパネルをブックエンドに差し込みます。
 パネルの種類については特に指定はないのですが、
 わたしは、軽さや色、価格、他のものを取り付けやすい
 ハレパネ(商品名はデコパネ・外側が色紙で中がスチロール)を
 使用しています。
4.パネルの前にイメージを出せる布や紙などを付けます。
 最初に敷くものをここで大きくかぶせても
 いいかと思います。
5.イメージ小物を置いたり、背面のパネルに取り付けます。
 背面パネルに重いものをつける場合、
 ブックエンドの後ろ側の加重を増やすこととで、
 ある程度、前倒れを防ぐことができます。
6.娘たちを配置して、イメージを完成させます。
 照明装置がある場合は、
 スポットライト、ストロボ装置などを
 ライティングを考えながらセッティングします。
 
以上で完成です。

パネルとブックエンドで約1,000円〜2,000円ほどでできますし、
文房具屋さんで簡単に購入できます。

片付けるときもかさばらないので、邪魔にもなりません。

パネルをそのまま背面にするつもりならば
できるだけ細い同色のブックエンドを使用すれば、モデルの影になって
撮影のとき隠せるかと思います。

周りからの色かぶりや、市販品のような全面を白くするものを作りたかったら、
下記のように、背面と同じように左右を白いパネルで覆えば問題ないかと思います。
参考例 1



三方をパネルで囲った後に白い布団用シーツなどを
掛ければ、できあがりです

※あえてブックエンドには判りやすくするため色を付けています。
参考例 2



パネルのかわりに大判(A0やB0)の白い厚紙を廻してもいいと思います。
その場合、厚紙を折らずにブックエンドを床または台と固定した方がいいでしょう。

※あえてブックエンドには判りやすくするため色を付けています。
★★★別置ライティングのセッティング方法★★★
スポットライトの固定方法
スポットライトについては、クリップ式ののものを使用して、
三脚やドールスタンドに付けてると簡単です。
ストロボの固定方法 (別置型は使用したことがないので調べた内容です。)
ストロボを別置させて撮影するためには、オプションのストロボの他に専用のシューアダプタが
必要になります。

参考リンク キャノン アクセサリー製品情報 

また、固定するにはやはりシューアダプタに左右されます。フジフィルムにはクリップ用も存在するようですが、
通常、アダプタ下部についている三脚穴に三脚をセットして使用するみたいです。


これで、機材的な撮影の準備は、できあがりました。

思いのほか、別置のライティングを考えなければ、簡単に設置できるので
一度、セッティングしてみてはいかがでしょうか。


人形が同じ写真でも、ずっと見栄がするようになります。

余分なものが映らないし、作ったイメージによっては、
逆に引き立ててくれます。

ここまでは、割とハードベースの内容なので調べたり、経験の中である程度、
まとめていくことができました。

あとは、どんなイメージづくりをするかで小物や背景を決めればいいわけですが、
この、イメージだけは、人それぞれなので、まとめようがありません。

それで次の小物の使用については、客観的な使い方や紹介にて、まとめていきたいと思います。


★★★人形写真の迷宮 メニュー★★★
1.機材、小道具について
a) カメラの種類、特徴について コンパクトデジタルカメラ、NEO一眼レフカメラ、一眼レフカメラ 公開
b) 三脚、リモコンの利用 手ブレをなくす簡単な方法 公開
c) 背景のセッティングについて 市販品から手作りまで 公開
d) 小物の使用について スケール感、イメージ作り、 公開
2.撮影について
a) 記録方法について JPEGとRAW、ブラケット撮影、ピクチャースタイル 公開
b) 撮影条件について 日中の自然光、室内蛍光灯、スポット、瞬間光(フラッシュ) 公開
c) 撮影方法について ズームと広角、マクロなどレンズ選択や設定、撮影アングル 公開
3.データ処理、加工について
a) 簡単な後処理について 明るさ、色合い、コントラスト、トリミング 公開
b) 視覚効果のある処理について ソフトフォーカス、縁取り、セピア 製作中
★★★人形写真の迷宮 表題及びリンク集★★★

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